コラム

AIファッションムービーの進化から紐解くAIクリエイティブの現在地

「NFFT2025‗DIG SHIBUYA」イベントレポート

ここ数年、生成AIの普及が急速に進む中、多くの企業がその活用法に悩んでいます。広告マーケティング領域でも、クリエイティブの可能性を広げる重要なツールとして、生成AIへの注目が高まっています。しかし、生成AIとどう向き合っていいかわからない、日々の業務でうまく活かしきれない、などの声がまだまだ多く聞かれるのが現状です。

ADKグループでは、AIに特化した社内横断組織「AI CoECenter of Excellence)」を中核に、AI戦略の一環として、自社内でのAI活用や対外的な価値提供に取り組んでいます。特にクリエイティブ領域では、画像・動画・音楽の3領域で生成AIツールの社内導入を推進。実務ベースのナレッジ共有会を実施するなど、生成AIの活用を推進しています。
その一環として、ADKマーケティング・ソリューションズ(以下、ADK MS)では、202528日(土)-11日(火)に開催された、AIファッションムービー展「NFFT2025_DIG SHIBUYA」への協賛と、AIファッションムービー作品の出展を行いました。

本記事では、本展示への協賛・参加を行ったAICoEの取り組みや前回から進化した点をご紹介します。また、主催者兼AIクリエイターであり、23年に話題になったPARCOの初の生成AI広告でクリエイティブ・ディレクターを務めたSTUDIO D.O.G.の木之村美穂氏へのインタビューなどもご紹介します。

生成AIクリエイティブの最新事例が集まる展示会「NFFT


NFFTは2022年より始まり、今回で5回目の開催になるAIファッションイベントです。国内外のAIクリエイターの作品が一同に介するAIクリエイティブ展示として、業界内外から注目を集めてきたイベントです。

今回のNFFTでは、世界中から32名のAIクリエーターが参加し、動画生成AIの最新技術を駆使した世界トップレベルのAIファッションムービーが展示されました。昨年10月に渋谷PARCOで開催された「NFFT2025_SS」への出展に引き続き、ADK MSとしては2回目のNFFTへの出展となりました。今回は、渋谷区共催のテクノロジーxアートの最新カルチャーイベント「DIG SHIBUYA 2025」とNFFTとのコラボレーション展示として、DIG SHIBUYAイベント内での展示となりました。

なお、ADK MSは、昨年1月開催された「DIG SHIBUYA 2024」にも、理研iTHEMSと制作したサイエンスアート作品「Black Hole Recorder」を出展しており、DIG SHIBUYAへのアート作品の出展も2回目となります。

生成AIによるデジタル作品とリアル作品がDIG SHIBUYAに集結

今回のNFFTの展示会場では、デジタル映像展示だけでなく、フィジタル*1作品(AIがデザインした洋服やアクセサリーなどのファッションアイテム)の実物展示も行われました。生成AIによるデザインを、リアルなファッションアイテムとして制作して展示することで、従来にないファッションデザインの可能性を感じられる展示となりました。
ADK MSは、展覧会のメインテーマ『Regeneration』を軸に、60秒間のAIファッションムービー「FASHION TO SURVIVE 2025 SS」を作品として出展しました。この作品は、AIによるファッションの再生“Regeneration”をコンセプトに、近年の異常気象などの過酷な環境から身を守りつつ、過酷な環境を楽しむための未来のファッションの可能性を表現しています。昨年NFFTに出展した30秒のAIファッションムービー「READY TO SURVIVE 2025 SS」のテーマを発展させて、60秒の映像として再構築した作品です。


作品URL:https://youtube.com/shorts/8R6dmUYFmpU

AI クリエイティブチームメンバー
AI Creative Director:小塚仁篤 

AI Prompt Director:鬼丸翔平
Copywriter:片岡良子
Movie Director:小林巧実
Art Director:脇田樹
AI Designer:村田実優
AI Designer:森岡日菜子
AI Designer:高美遥
AI Designer:許鈞偉
Project Coordinator: 竹節珠加

クリエイティブチームを率いたAI Creative Director小塚コメント

『前回に引き続き、ADKチームとして生成AIムービーの企画・制作に取り組みました。今回新たに入社12年目のデザイナー4名にチームに参加してもらい、デザイナーの目線で欲しいアウトプットの視覚的イメージを明確にしたうえで、ムービー構成案に沿って画像や動画のAI生成を行いました。
生成AIに入力するプロンプトを考える際には、視覚的イメージを言語化して具体的にディテールを描写する必要があります。4人のデザイナーがそれぞれの視点でプロンプトを入力することで、同じシーンをAI生成しても全く異なるアウトプットが出力されるなど、みんなの個性を反映したAIクリエイティブを制作できたと思います。

今回は、昨年制作した30秒のAIファッションムービー「READY TO SURVIVE 2025 SS」のテーマを発展させて、60秒の映像として再構築した作品を作りました。もともと舞台として描いていた3つの都市「東京」「京都」「札幌」に加えて、新たに「沖縄」を追加して、水と共生する未来の街並みと、そこに生きる人々のファッションを表現することを目指しました。特に水や液体などの表現にはこだわりました。
昨年から進化した点は、AIムービーとしてのクオリティです。特にこの半年での動画生成AIRUNWAY」の進化は凄まじく、従来生成できなかった縦型フォーマットでの動画生成、カメラアングルの指定などの機能が充実しました。これらの機能も踏まえて、トライ&エラーを繰り返しながらプロンプトを入力して、作品を制作していきました。

生成AIは常に進化しているので、最新動向をチェックしながら、生成AIツールを日常的に触っておくことが重要だと改めて感じました。企画意図を逸脱した生成AIのアウトプットや新しい表現などを楽しみながら、AIとの共創によるクリエイティビティの進化を目指していければと思います。』

(左より)小林巧実、高美遥、村田美優、小塚仁篤、許鈞偉

NFFTの主催者・AIクリエーター STUDIO D.O.G. 木之村美穂氏コメント
『生成AIのテクノロジーは日々進化しており、その進化は加速し続けています。本イベントは2022年から始まり、2023年までは主にAI画像を中心に作品を展示していましたが、2024年頃からAI映像のクオリティが急速に進化したため、昨年からはAIファッションムービー展として、AI映像を中心とした展示となっています。昨年10月に渋谷パルコで開催した「NFFT2025_SS」は、国内外のAIクリエイターに加えて、ADKなどさまざまな企業が参加して、とても盛り上がりました。
そこから4ヶ月足らずで今回の「NFFT2025_DIG SHIBUYA」の開催に至った訳ですが、この短期間の間にも、生成AIテクノロジーはさらなる進化を遂げています。特にAI動画のクオリティの進化は目覚ましく、今回出展されたAIファッションムービー作品は、最新のAIクリエイティブ表現の見本市として、多くの方に注目していただけたと思います。

このイベントの魅力は、クオリティの高い最新のAI作品を、メタバースやデジタル空間ではなく、リアル空間で直接体験できる点です。今回は前回にも増して「フィジタル」作品に力を入れています。生成AIでデザインしたデジタルファッションを、実際のリアルなファッションアイテムとして具現化した展示です。
今回は、生成AIがデザインしたアクセサリー、デニムなどに加えて、生地や衣服に直接造形できる3Dプリンタで生成AIのデザインを再現したアイテムなど、フィジタルの新たな可能性を感じる展示となりました。生成AIのクリエイティビティやインスピレーションが、手に取れるリアルなアイテムとして再現されることで、新たはファッションデザインの可能性が広がりつつあると感じています。
生成AIによる作品制作においては、企画やコンセプト、ストーリーボードの作成が非常に重要な役割を占めています。人間のクリエイターがストーリーボードを設計、タイムラインに沿ってシーンを計画し、詳細な指示を出すことで、生成AIのポテンシャルを最大限引き出すことができるようになります。このような生成AIと人間の共創は、今後さらに加速していくと思います。

私が拠点とするL.A.などのハリウッド界隈では、長編映画の制作などにも生成AIが活用されはじめています。このような生成AIの最新トレンドやフィジタルなどの可能性について、今後もNFFTなどを中心に発信していきます。次回は6月と10月頃に国内外でAI Fashion Movie Event を企画予定ですので、ご期待ください!

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イベント開催後、ADK MSでは社員向けに第2回となる「AIクリエイティブ講座~実践編~」を実施しました。今回の講座では、木之村氏を講師に迎え、最新ツールを活用したプロンプト作成のテクニックや実践的な活用方法について、具体的な事例を交えたレクチャーが行われました。講座後には、「難しいと思われがちなAIの操作も、正確な知識を身につけることで容易に取り入れられる」という声が参加者から多数寄せられました。今後の日常業務における生成AIの活用意欲が高まった様子がうかがえました。

ADKグループでは20251月から、画像・映像・音楽の3領域で生成AIツールの商用アカウントをプランニング部門の一部に配布し、生成AIツールの活用を促進しています。今後、クライアント提案や表現制作において、生成AIによるクリエイティブの活用をさらに加速していきます。そして、クリエイターと生成AIが共創するプロセスを通じて、従来にないクリエイティブジャンプのあるアウトプットの創出を目指していきます。

※1フィジタル:デジタルとフィジカルの造語。デジタルで作った作品を、実際のモノに作ること。

NFFT2025_DIG SHIBUYA AI Fashion Movie
開催期間:2025 28(土曜日)~ 211(火曜日)
開催場所:SLOTH 6階 東京都渋谷区神南1-14-7 ワイズ神南ビル6階 https://sloth.salon/
主催 : 木之村美穂
NFFT2025 実行委員会 :株式会社TYO / STUDIO D.O.G GK
参加クリエイター:世界で活躍する AI Creator (AI Prompt Director/AI Filmmaker )32

木之村美穂
STUDIO D.O.G GK 代表
クリエイティブ・ディレクター/ AI Prompt Director / AI Filmmaker
ファッションデザイナー出身。New York、Los Angelesにて、グローバルラグジュアリーブランドのファッション・化粧品の広告宣伝ビジュアル制作プロダクションSTUDIO D.O.Gの代表エグゼクティブプロデューサー、映像ディレクターとして広告宣伝を数多く手がけ、ファッション・ビューティー専門の広告プロダクションとして、長いキャリアを持つ。2021年11月、Web3.0に対応したNFT メタバース ファッションを専門に扱う会社をLos Angelesで立ち上げ、アメリカで新規事業に取り組む。現在はデジタルクリエーターや、AIクリエーターのグローバルキャスティング・メタバース広告制作やAI 企画プロデュースなど幅広く取り組んでいる。最近では日本の広告業界・ファッション業界向けNFT初心者セミナーなどを企画・主催。Los Angeles 在住。https://www.mihokinomura.com/
小塚仁篤
EXクリエイティブ本部/SCEHMA
クリエイティブ・ディレクター/クリエイティブ・テクノロジスト
デジタルやテクノロジー分野での経験を武器に、未来志向のクリエイティブ開発やSFプロトタイピングを得意とする。主な仕事に、障害者の社会参画をテーマにした「分身ロボットカフェDAWN ver.β」(オリィ研究所)、未来ミュージアムを”未来をつくる実験場”に進化させるスローガン「Mirai can_!」(日本科学未来館)、微弱な電気のチカラで減塩食の塩味やうま味を引き出していく食器型デバイス「エレキソルト」(キリンホールディングス)など。 Cannes Lions、CES Innovation Awards、Prix Ars Electronica、D&AD、SPIKES ASIA、ADFEST、MADSTARS、ACC、メディア芸術祭、グッドデザイン賞ほか受賞歴多数。JAAAクリエイター・オブ・ザ・イヤー2020メダリスト。

<本件に関する問合せ先>
株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ
 EXクリエイティブ本部 NEXT GENクリエイティブ局 小塚
株式会社ADKホールディングス 
 経営企画本部 PR・マーケティンググループ 伊藤/根岸 e-mail:mspr@adk.jp

ADK Marketing Solutions Inc.