コラム
【フロントラインレポート】クライアント企業のサステナブルな顧客体験を実現!生活者の行動変容を促すCXソリューション「CASES」とは
2023.06.23
SDGsやサステナビリティーへの取り組みは社会に広く浸透し、今や企業にとって欠かせないものとなっています。
一方で、多くの企業がその重要性を理解しつつも、誤解や認識不足、収益化しにくい等を理由に二の足を踏んでいる現状もあります。
そうした中ADK MSは、日本IBMとカスタマー・エクスペリエンス(CX)領域で協業しているコンサルティング・ユニット“alphabox”において、顧客体験創出視点で企業のサステナブル事業を支援するソリューションサービス「CASES(ケイシーズ)」を提供しています。
今回のフロントラインレポートでは、企業のサステナブル課題を「CASES」がどのように解決するのか? 活動を通じて見えてきたことは? について「CASES」を推進するalphaboxの中村俊郎と江澤桃子が解説します。
―まずは、ADKマーケティング・ソリューションズ(ADK MS)と日本アイ・ビー・エム株式会社 (日本IBM)のCXコンサルティング・ユニットであるalphaboxが、企業のSDGsやサステナブル支援に取り組むことになった理由を教えてください。
江澤:近年、SDGsをはじめとする企業のサステナビリティーへの関心が高まっています。
このような意識が加速したきっかけのひとつとして、2019年に始まったCOVID-19の感染爆発が挙げられるのではないでしょうか。
コロナ禍は、感染拡大防止のため人々の活動や移動制限がかかることにより、経済が縮小し、企業収益が減少するだけでなく事業の停止にまでおよぶ企業が急増しました。こうしたことが、そもそも企業活動が何のために行われているのかという、より広い視野でパーパス(社会における企業の存在意義)を捉え直すきっかけとなり、企業だけでなく消費者のサステナビリティーに対する意識の高まりにも影響したと考えています。
中村:サステナビリティーには、色々な捉えかたがありますが、「環境・社会・経済などの観点から、企業経営や事業が持続可能な状況である」と私たちは定義しています。つまり、“サステナビリティー経営”の文脈で捉えている訳ですが、そこに生活者の支持を得て最終的には収益向上を実現する顧客体験の観点を取り入れるという alphabox 独自の考えから、「CASES」というソリューションサービスを開発しました。
―「CASES」とは、どのようなサービスなのですか? その強みについて教えてください。
中村:私たちが所属するalphaboxはADKのマーケティング力と、日本IBMのIT・テクノロジー・コンサル力を融合させてクライアントの事業に貢献するCX(顧客体験)コンサルティング・ユニットです。(両社合わせて40名超のメンバーがいます)
alphaboxが推進する「CASES」では、ADKの持つノウハウのみならず、パートナーである日本IBMや、サステナビリティー・サーキュラーエコノミー支援事業を実施するハーチ株式会社とも連携し、生活者の行動変容を促す施策の立案から実行に関連するサービスを提供しています。
江澤:この「CASES」の特徴は、生活者が企業の商品やサービスに関与する一連の顧客体験を“顧客満足度”と“サステナビリティー”の二軸で分析し、各体験における課題と解決策の方向性を特定することから出発する点です。
また、特定した課題に応じて「人の行動特性」「デザイン」「デジタル体験」及び「空間」の4つのアプローチを組み合わせ、企業と生活者にとっての最適なサービスや施策を各領域のスペシャリストとともに構築していきます。
―「CASES」による提案を通じた課題は何ですか?
江澤:これまでに、保険や家電、食品、飲料、小売店といった様々なクライアント企業への提案を行ってきました。
例えばその中で、食品クライアントには“フードロス”や“食による健康づくり”を提案する機会が多いのですが、「CASES」ではクライアント課題やカテゴリー課題を見極め、顧客体験として面倒に感じること・不自由に感じることを洗い出し、そこに独自のアプローチを駆使することでソリューションを導出してきました。
中村:企業は、社会的責任の観点からサステナビリティー活動に取り組む必要があり、サステナビリティーは長期的に事業成長に寄与するという考え方が浸透しつつあります。その状況において、クライアント企業が抱える課題は大きく2つあると考えています。
それは、「自社のサステナビリティー活動がなかなか生活者に浸透しておらず、収益化できていない」ということと、「そもそも自社のサステナビリティーに関する取り組みが満足できる顧客体験を組み込めていない」ということです。
特に、顧客満足に繋がる体験価値を十分に提供できるサステナビリティー施策は少なく、利益に結びつくような成功事例はいまだに少ないように感じています。また、海外では成功しても日本ではうまくいかない事例もあります。
江澤:生活者のサステナビリティー意識や行動に注目すると、企業が望んでいるほど生活者の行動が変わっていないことがわかります。
消費者庁が令和4年6月に公表した『令和4年度版消費者白書』によると、「SDGsやエシカル消費に対し、興味を持っている」人の割合は約半数に上りますが、実際に行動に移している人の割合は全体の13%に留まっています。(円グラフ参照)
つまり、生活者はサステナビリティーに概ね賛成であるものの、実際の行動については後回しにしており、生活者の意図と行動にギャップが存在しているのです。
―課題に対しては、どのように向き合っているのですか? 解決のコツはあるのでしょうか。
中村:前述した課題に対しては、「サステナビリティーと顧客体験価値を両立させることで顧客の行動変容を促し、利益に結び付ける」ことが、今後の企業活動において重要であると考えています。生活者の行動を変え、企業や行政が掲げる望ましい結果に近づけるためには、「生活者自身が自ら行動したいと思えるような仕組み・仕掛け」が必要ということです。
仕組み・仕掛けを考える際には、一般的なデスクリサーチのみならず、顧客の生活意識や行動および導線設計が重要となります。
“SDGsやサステナブルな活動は正しいことだからやりましょう”という理性的アプローチだけでは人はなかなか動かない、という現状で行動変容を促すためには、望ましい行動がとれるよう人を後押しするナッジのアプローチが鍵になると考えています。それを行動特性アプローチと呼んでいますが、そこにデザイン、デジタル、空間などを組合せることで、より自然に行動できる状況を創り出すことが解決への近道だと思っています。
―今後、企業はますます環境に配慮したものづくり、サービスの提供が求められると思いますが、「CASES」による支援は企業にどのような価値をもたらすのでしょうか。
中村:例えば、施設でのエスカレータ利用の渋滞解消を目的に、階段利用を「健康のために」と推奨してもなかなか利用者の行動は変わらなかったのが、階段をピアノの鍵盤に見立て、踏むと音が出る仕掛けにしたら、進んで階段を利用する人が増えたという他社の事例があります。言わずもがなこれは、正しさではなく「楽しい」体験によって生活者の行動を変えたわかりやすい成功例です。
「CASES」の得意とする行動特性アプローチもまさに、インサイトに基づいた生活者自身が自ら進んで行動を変えるための仕掛け作り・導線作りが中核であり、企業のサステナブル課題に対してより実現性の高いソリューションを提供していきます。
―最後に、「CASES」についての展望や構想をお聞かせください。
中村:「CASES」は、体験価値を企業の施策と融合させることによって、顧客により自然なカタチでサステナブルな行動へと促していくことが大きな特徴です。
これまで、提案をしてきたクライアント企業からは、その意図は理解できるものの実行するにあたっては人手が足りない、他部署との連携が難しい、オープンイノベーションで解決したいが進め方がわからないといったお悩みを多く頂きました。
今後は、これまでの提案活動で培った知見やノウハウを活かし、実行のハードルとなっている阻害要因に向き合い、サステナブルな解決に向けて並走するパートナーとして、より多くの企業や組織に「CASES」をご活用いただけるよう取り組んでいきたいと思います。
■alphabox
alphaboxは、マーケティングのADK MSとIBMコンサルティングのデジタルエージェンシーIBM iXが ノウハウを結集したカスタマー・エクスペリエンス(CX)コンサルティング・ユニットです。「DXを通じて、CXを実現する。」というミッションのもと、 戦略コンサルティング・デザイン・ソリューション・グロースに至るEnd-to-Endのサービス提供によりクライアント企業のマーケティングの高度化を支援しています。
Webサイト:https://alpha-box.jp/
中村俊郎(なかむらとしろう)
TV SPOT 部のテレビ局担当として社会人キャリアをスタート。
その後、マーケティング/ストラテジック・プランニング部署に異動、マーケティング戦略/コミュニケーション・プランナーとして経験を積み、2019年のalphabox設立時から参加。顧客体験を大切にしないと、理屈だけで人は動かないし、変わらないということを実感しながら、人が動きたくなるインサイトは何かを日々模索しています。現在はサステナビリティー系、サービス開発系を中心に従事
江澤桃子(えざわももこ)
2019年 総合コンサルティング・ファームに入社、戦略部門に所属し新エネルギーの利活用検討や企業の脱炭素戦略検討等に取り組む。
2022年alphaboxに転職。現在はサステナビリティーやデジタル領域を中心にコンサルティング案件に従事。
異業種へ転職したばかりで大変な事もありますが、よりよい顧客体験とは何かを考えながら日々奮闘中。
【本件に関するお問い合わせ】
株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ
alphabox 中村 e-mail:toshiro@adk.jp/江澤 e-mail:momoko.ezawa@adk.jp
ビジネス戦略局PRグループ 齋藤/内山 e-mail:mspr@adk.jp
株式会社ADKホールディングス
グループ広報局 平尾 e-mail:adkpr@adk.jp