コラム

フルファネルマーケティングを実現する、「ADK顧客資本調査プログラム」 ~「顧客体験調査」編~

~ファネル右側におけるブランド顧客のファン化プロセスを明らかに~

第1回目の「ADK顧客資本測定調査プログラム」特集記事ではプログラムの概要に関して、第2回目の「体験接点調査」特集記事では認知から購買にいたるまでの「ファネル左側(獲得型マーケティング)」について、そしてADK顧客資本調査プログラムについての最終回となる本コラムでは「ファネル右側(育成型マーケティング)」領域をカバーする「顧客体験調査」についてご紹介します。
よく私たちはブランドの「ファン」が大切だという言い方をします。ファンを増やしたい、という言い方もします。しかしどのようなプロセスを経て人はブランドのファンになるのでしょう? どの消費者もブランドへの態度は最初フラットです。その後認知、購入、利用などの「ブランド体験」を経て、ある人はファンになり、ある人はファンにならないという経過をたどります。それを分けるものは何でしょうか? どんな体験をした人はファンになりやすいのでしょうか? それを解明しようとするのが「顧客体験調査」となります。

ファンの量の把握

顧客体験調査自体は多少複雑で質問数も多いので、今回はそのエッセンスをご紹介します。基本は2つの要素の把握です。
1つは顧客の中にそのブランドのファン(優良顧客)がどれくらいいるのか(ファンの量)の把握で、もう1つはファン化に影響を与える顧客体験の把握です。最初にファンの量の把握について説明します。
あるブランドの顧客(購入者・利用者)がすべてファンというわけではありません。顧客の態度には濃淡があり、そのうちブランドを支持する人がファンと言えるでしょう。顧客体験調査ではブランドのファンかどうかを「推奨度」に置き換えて測定します。すなわち、そのブランドを友人や同僚に勧めたい度合いを0点(まったく勧めたくない)~10点(非常に勧めたい)で評価してもらい「高得点者=推奨者」をファンと見なします(※)。そして中得点者を「中立者」、低得点者を「批判者」と定義して、その分布と構成比を分析します。得点区分は日本の場合8点以上を推奨者、7~6点を中立者、5点以下を批判者とするとうまく分析できることが多いようですが、この区分はブランドやターゲットにより変えて対応します。そして推奨者=ファンの構成比を高めていくことをマーケティング目標と考えます。

※顧客ロイヤルティを測る指標であるNPS®(Net Promoter Score)を計算する際の質問と同じですが、顧客体験調査ではNPS自体は使用しません。推奨度が高いほど一般的にそのブランドの商品・サービスを買う頻度や金額が高くなる傾向があります。また「推奨度」を使わず「購買意向」で評価させる場合もあります。(NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。)

ファン化に影響を与える顧客体験の把握

次にファン化に影響を与える顧客体験の把握です。それを把握する方法も2つあります。1つが自由回答を使う方法で、推奨度を質問する際、その得点をつける元になった具体的な体験が何か尋ねます。自由回答なので多様なコメントが得られるわけですがADKではその要約・分析に生成AIを使用しています。

もう一つは量的な把握方法で、顧客のブランド体験を10個前後にまとめて、回答者にどの体験が推奨度に影響したのか尋ねます。ブランド体験は商品・サービスごとに異なるので、その都度設定し調査します。分析のポイントは「推奨者」「中立者」「批判者」を比較することで、これにより「推奨者」と他の顧客タイプを分けている体験、つまり推奨度に影響している体験が何かを把握することができます。
下記の乳酸菌飲料Aについての分析例では量的な分析からは「おいしさ」「買いやすさ」などの体験が上位に来てますが、これは推奨者・中立者両方で高く、推奨度向上には必要としても推奨者(ファン)になるための決定的な体験とはいえません。一方「効果の実感」は推奨者だけで高くなっており、これはキーとなりそうな体験です。自由回答の分析を見ると推薦者で「免疫力の向上」が挙がってますが、その内容はやはり「商品の効果の実感」しているかどうかのようです。中立者は商品が健康に与えてくれる「効果の期待」に留まっており、「効果の実感」有無が推奨者(ファン)になるために重要な要素であると推察できます。

ご紹介した分析は、顧客体験調査の基本要素だけでしたが、より多くの質問項目を用意し統計的解析を伴う深い分析を行うことも可能です。また推奨者の属性を明らかにする調査項目を組み込むことで「推奨者になりやすい」タイプの人を明らかにし、新たなターゲット設定に生かすことも可能です(ファネルの右側から左側への連携)。
昨今は消費者について取得できるデータは増えましたが、逆に顧客像や顧客インサイトが見えにくくなっているというような声をよく聞きます。私たちは、ADK顧客資本調査プログラムの手法を使い「顧客の姿」をより鮮明に描き出すことでクライアント企業のマーケティング活動に今後とも貢献していきたいと考えています。

・リンク:ADK顧客資本調査プログラムニュースリリース(2023.9)
・リンク:フルファネルマーケティングを実現する、「ADK顧客資本調査プログラム」 (概要編)
・リンク:フルファネルマーケティングを実現する、「ADK顧客資本調査プログラム」 (「体験接点調査」編)


株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ
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 経営企画本部 PR・マーケティンググループ 伊藤 e-mail:mspr@adk.jp

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