コラム
「サステナビリティ・ソリューショングループ」インタビュー。生活者を巻き込む新たなアプローチとは?
目指すは「社会課題」と「クライアントのビジネス課題」の同時解決。
2024.08.27
近年、世界各国・地域でサステナビリティに関連した情報開示の基準策定が進められています。日本においても、内閣府令等の改正により、有価証券報告書等において、サステナビリティ情報の開示が求められることになりました。企業にとってサステナビリティとは、企業の価値を測る「新指標」であり、差別化の「新機軸」になっており、まさに“いま”取り組まなければならない喫緊のテーマ・領域です。
しかし、切迫している地球環境の危機等への対策と、営利企業としての利益創出をいかに両立させるか。企業の持続可能性向上を図るサステナビリティ経営は、理論的にも実践的にも発展途上であり、企業の抱える課題もさまざまです。
ADKマーケティング・ソリューションズでは2024年1月、クライアントのサステナビリティ領域の業務推進を支援する「サステナビリティ・ソリューショングループ」(以下「SSG」)が発足されました。今回、SSGを率いるプランニング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクターでグループ長の有泉 昌にSSGでの取り組みについてインタビューを行いました。
目次
1.クライアント企業のあらゆるサステナビリティ領域の業務推進を支援。 「社会課題」と「クライアントのビジネス課題」を同時に解決することを目指す。 |
2.「脱炭素」「DE&I」「SXコミュニケーション」、外部パートナーと協業しながら提供する3つのソリューション。 戦略からアウトプットまでワンストップで支援。 |
3.今後のサステナビリティ推進。重要なのは、“行動変容を促す発信”と“事業連動”。 |
クライアント企業のあらゆるサステナビリティ領域の業務推進を支援。
「社会課題」と「クライアントのビジネス課題」を同時に解決することを目指す。
Q:今年新設された「SSG」について、新設された経緯や概要を教えてください。
ADKでは顧客を資本と考える「顧客体験創造」会社になる、という事業ビジョンを掲げています。このビジョンを実現するために、クライアント企業の新規顧客の獲得だけでなく、ファンの創造という統合的なマーケティングを中心とした領域(非広告領域)にも注力しています。
さらに、クライアントの将来の事業成長に貢献できる新規事業開発にも積極的に取り組んでおり、新たなビジネスの開発や案件の創出にチャレンジする部署として、2021年にSSGの前進となる、ソリューションリーダーシップグループを設立しました。
当時はコロナ禍ということもあり、企業側だけでなく、生活者の間でもサステナビリティや社会課題に対する関心が高まっていました。そのため、ADK社内でも、クライアントのサステナビリティ領域に対してどのような支援ができるか、という悩みを抱えている担当者が想像以上に多く、我々の知見を活用して、この領域に特化した支援ができるのではないかと考え始めました。
そして、2024年1月、「社会課題」と「クライアントのビジネス課題」を同時に解決していくことを目指してSSGを立ち上げました。企業にとって、取り組むべきサステナビリティ領域のテーマや内容はさまざまなので、あらゆるテーマ・領域に対応すべく、さまざまな外部パートナーと協業しながら支援できる体制を整えています。
いまではサステナビリティに対して、本格的に取り組み始めた企業も多数ありますが、サステナビリティ関連の「新規事業・新サービス開発」や「マーケティング・コミュニケーション開発」には手を付けられずにいる企業がまだまだ多い印象です。
戦略プランニング、コンサルティング、クリエイティブ、アクティベーション、メディア、グローバルビジネスなど、さまざまなスキルと知見を持ったADKメンバーが、クライアントの課題と、その先の社会課題について、ともに考えていくことで、クライアントのビジネスに貢献してきたいと考えています。
ありがたいことに、グループ発足以来、さまざまなクライアントからご相談を受けており、この領域における支援のニーズの多さ・高さを日々感じています。
SSGではコンサルティング/プランニングから、クリエイティブ/アクティベーション開発まで、クライアント企業のあらゆるサステナビリティ領域の業務推進を支援している。
「脱炭素」「DE&I」「SXコミュニケーション」外部パートナーと協業しながら提供する3つのソリューション。戦略からアウトプットまでワンストップで支援。
Q:SSGでは、企業に対してどのような提案を行っているのでしょうか。
「脱炭素」「DE&I」「SXコミュニケーション」の3つのソリューションを軸に置いた支援を行っています。
まず今年の1月にリリースした、「カーボンニュートラル推進支援プロジェクト」。
2024.01.25リリース ADKマーケティング・ソリューションズ、PERSEFONI、Futures、企業のカーボンニュートラル実現に向けて協業に合意
これはサステナビリティ領域においては、1丁目1番地といわれる脱炭素の課題をワンストップで支援するサービスです。気候変動問題はますます深刻化していますが、日本でも各企業が温暖化のリスクや解決の機会を認識し、積極的な対策を行うことが求められています。その中で、脱炭素への具体的な取り組みを企業が持続可能なかたちで継続するためには、最終的には事業としての成長と連動させることが不可欠です。また、これを具現化するにあたっては、戦略立案から施策実行までワンストップでの支援が重要といえます。
ADKがプロジェクトリーダーとして立ち、脱炭素に関する専門のパートナー2社と組んでいます。
1社がPERSEFONI (本社:米国アリゾナ州)。企業向け温室効果ガス排出量算定のプラットフォームで、世界大手のグローバル企業です。日本のみならずグローバルでの算定が可能で、金融会計上の基準も満たしているため、特にグローバルビジネスを展開する企業や金融関連企業にとっては非常に有益なプラットフォームとなっています。
もう1社がFutures Inc. (本社:東京都三鷹市)。国連に20年以上勤務し、サステナビリティ関連の豊富な経験を持つマック・ラマチャンドラン博士が東京で立ち上げたスタートアップ企業で、脱炭素領域のスペシャリストとして、CO2削減の目標や戦略策定、実際のカーボンオフセットの実行支援も行う企業です。
グローバル基準で専門知見のある2社と、日本におけるネットワークと専門性を併せ持ったADKがパートナーを組むことで、温室効果ガス排出量の算定・管理をはじめ、脱炭素化のためのコンサルティングおよび戦略立案、実行、マーケティング、コミュニケーション開発まで、ワンストップでサービス提供することが可能となりました。
そして、「DE&Iソーシャルアクション プログラム」。
こちらはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)領域における“共創”アクションプランの開発支援サービスです。「人的資本の情報開示」の義務化と、障害者差別解消法が改正され、障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されたことによって、各企業のDE&Iへの取り組みも本格化しています。生活者の間でも、ソーシャルムーブメントとしての動きが活発化しており、LGBTQ+や障害者への配慮の高まりや、意識の変化が見られます。また、企業側から見ても、マイノリティとされる人々に対する事業やサービスを行うことが、将来的な企業の価値向上と事業収益に繋がると考え始めています。
SSGでは、さまざまなソーシャルベンチャーやNPO法人と共創しながら、その企業ならではのソーシャルアクションプランのプランニングとプロデュース行っています。
1stステップでその企業/ブランドならではのサステナブルストーリーを設計し、2ndステップで取り組む領域を規定のうえ、アクションプランを企画立案・実行していきます。
最後に、本日リリースした「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション) コミュニケーション サポートプログラム」。
2024.8.27リリース ADKマーケティング・ソリューションズ、PR戦略コンサルティング会社のTaktoと協業。「社会課題の解決」と「自社の持続的成長」を両立させるための「SXコミュニケーション サポートプログラム」を開始
PR戦略コンサルティングのTakto (本社:東京都中央区)と協業して、サステナビリティ・コミュニケーションにおいて共感できるアクションづくりとコミュニケーションの支援を行います。
今後は、自社のサステナビリティの取り組みを対外的にコミュニケーションしていくステージに入っていくと考えられます。自社の取り組みをPRして、その取り組みが“価値のある形”で社会に伝わるよう、メディア側の正しい状況理解と適切なコミュニケーションの設計が必要となります。
しかし、サステナビリティ・コミュニケーションに関しては、クライアント内の課題意識が幅広く存在していて、価値を対外的にうまく伝えられずに埋もれてしまう、という課題を抱えるケースが数多くあります。
そこで、ADKとTaktoのプロフェッショナルチームがサステナビリティ・コミュニケーションの戦略立案と施策実行を支援することで、クライアントの企業価値の向上に貢献していくことが可能となります。
今後のサステナビリティ推進。重要なのは、“行動変容を促す発信”と“事業連動”。
Q:今後、企業でサステナビリティを推進していく際、重要になるポイントはありますか?
企業のサステナビリティに対する意識が高まり、社会課題の解決に向けた動きが活発になり始めていることは、個人的にも喜ばしい流れだと考えています。
一方、最近の傾向として、サステナビリティが企業や投資家の文脈だけで語られることが多く、私たち生活者が置き去りになっていることも感じています。
また、世界各国と比較すると、日本人は社会課題に対する危機感が希薄で、自分の行動が与える影響を気にする人の割合が低い、といった調査結果も見られます。その理由のひとつとして、「自分に何ができるのか、実のところよくわからない」といった意識があるため、行動変容にまで至らないといった状況です。
企業のサステナビリティ活動において、いま求められるのは「黙って粛々とやる」という姿勢ではなく、積極的に外部発信して、世の中全体で社会課題に対する行動変容を起こしていくことだと考えています。もちろん発信するうえでは、「何を言うか」だけでなく「何をしているか」といった具体的なアクションが重要です。いくら発信しても、実際の行動が伴わないと、いわゆる「ウォッシュ」とみなされ、企業の評判を落とすことにもなりかねません。
その流れの中で、ブランドやサービスの顧客体験価値を高め、生活者を巻き込みながら、製品やサービスの「ユーザー」を、共により良い未来を築く「ファン」に昇華させることで、持続可能な事業やサービスを生み出し、収益をあげる仕組みや仕掛けをつくっていく。そのことが継続的・本質的なサステナビリティへの取り組みに繋がり、それらの実現には、マーケティングやコミュニケーションのプロであるADKの知見や経験を活かすことができると信じています。
ADK MSでは今後も、総合的なアプローチによって、クライアント企業の変革と持続的な事業成長に貢献してまいります。
<プロフィール>
有泉 昌
ADKマーケティング・ソリューションズ EXデザイン本部
EXコンサルティング局 サステナビリティ・ソリューショングループ
プランニング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター
外資系企業のアカウントディレクション&プランニング業務に従事後、クリエイティブプランニング部署へ。 CMやグラフィック等のマス広告開発だけでなく、プロモーションやデジタルなどアクティベーション活動の企画/実行まで、領域や手法に捉われないニュートラルな視点でのプランニングを実施。様々な企業のサステナビリティ関連活動の企画案件にも携わってきた実績をもつ。
[サステナビリティ関連 保有認定資格等]
一般社団法人 日本広告業協会(JAAA) CSR委員
Start SDGs認定 CSV経営デザイナー (CSV型経営導入コンサルティング)
SDGパートナーズ認定 SDGsエキスパート
環境省認定制度 脱炭素アドバイザー ベーシック
SDGs検定/SDGs@ビジネス検定上級/ユニバーサルマナー検定/D&I検定/キッズコーチ検定 など
<サステナビリティ・ソリューショングループについて>
サステナビリティ・ソリューショングループは、ADK MS EXデザイン本部 EXコンサルティング局の組織です。EXデザイン本部は、「ワクワクする顧客体験」の創造をミッションに、顧客体験向上における課題を見極め、解決策や方針を策定し、ソリューションを企画します。また、これら一連のプロセスをクライアントとともに伴走型で取り組みます。サステナビリティ・ソリューショングループは、コンサルティングからエグゼキューションまで、クライアントのサステナビリティ領域の業務推進を支援。「社会課題」と「クライアントのビジネス課題」を同時に解決していくことを目指しています。
<株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ 会社概要>
マーケティング領域全般における統合的なソリューションをフルファネルで提供。2021年に始動した事業ブランド「ADK CONNECT」がフラッグシップとなり牽引するデジタル&データドリブン・マーケティング領域では、専門性の高いスペシャリストが組織横断で集結し、クライアントのビジネス成果に貢献する「価値ある顧客体験」をご提案します。
・ADK MSウェブサイト https://www.adkms.jp/
<本件に関する問合せ先>
株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ
EXデザイン本部 EXコンサルティング局
サステナビリティ・ソリューショングループ 有泉 e-mail:Sus_Sol_prj@adk.jp
株式会社ADKホールディングス
経営企画本部 PR・マーケティンググループ 内山 e-mail:mspr@adk.jp