コラム

「ADK生活者総合調査2024」より『今どきシニアの最新調査』の詳細結果を公開

2024年、公的定義による「高齢者(65歳以上)」の人口は3,625万人、高齢化率29.3%で過去最多を更新しました。また、高齢者層全体の消費は増加しており、経済活動に対して高齢者層の与えるインパクトは非常に高いことから、ADK生活者総合調査を活用し、最新のシニア世代の特徴や消費行動を調査しました。

「ADK生活者総合調査」は、2008年よりADKマーケティング・ソリューションズにて毎年実施しているオリジナル調査です。関東・関西地区*1の男女15-79歳10,000名以上が回答する大規模調査であり、ライフスタイル・消費行動・メディア接触などの多面的視点から生活者の実態を捉えることができます。

本ページでは2024年11月26日に発表したプレスリリースをさらに深堀した結果をご紹介します。

※ADKでは50歳以上をシニアと定義しております。
15~19歳(n=1129)、 20~29歳(n=2687)、30~39歳(n= 2854) 、40~49歳(n= 3461)、50~59歳(n= 3906)、 60~69歳(n= 2857)、 70~79歳(n= 1234)

幸福度とは裏腹に暮らし向きへの不安が。

個人の幸せの実感度合いを「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点として聞いたところ、70代平均が6.86点で全年代の中で最も高い結果となりました。次いで10代が6.71点、60代6.51点、20代6.2点、40代6.11点、30代6.07点となり、20~50代で落ち込み60代で再度上昇する傾向が分かりました。(図1)

しかし「暮らし向き変化(昨年から今年)」「暮らし向き予想(今後)」について聞いたところ、ほとんどの年代で「変わらない」との回答が最も多かったですが、「下降」と回答した人は40代以下よりシニア層の方が多く、また「上昇」と回答した人は20代以降、年齢が進むとともに減っていることが分かりました。(図2)(図3)

個人の幸せは実感している一方、物価上昇などを受け、暮らし向きに関しては不安を抱えているシニア層が多いことが分かります。

多趣味なシニア。「旅行」「散歩」「食べ歩き」、より外出を伴う趣味が人気。

「日頃行っている趣味・スポーツ」として「1泊以上の国内旅行」と回答した方は、50代で3割、60・70代で4割を超える結果となり、年齢を重ねるごとに旅行への関心が高まっていることが分かりました。(図4)

この結果は、日頃の関心事とも呼応していて、「関心のある話題(34項目の複数回答)」を聞いても、50代以上では「政治・社会」や「経済」を押さえて「旅行(国内)」が1位になっており、40代以下との差が大きいことにも表れています。 なお、同じ旅行でも「海外旅行」への関心度は、物価高や為替の影響、海外の安全性などへの懸念もあって現在は上位に上がりにくい状況にあるようです(同16.0%で第18位)。(図5)

続いて、「日頃行っている趣味・スポーツ」に関する結果を40代以下と50代以上と比較して見てみると、シニア層は非常に多趣味であることが分かります。
50代以上では「散歩・散策・ウォーキング」「1泊以上/日帰りの国内旅行」が1・2位で現役層を遥かに凌ぐ結果となり、また「料理・お菓子づくり」「食べ歩き・お取り寄せ」など食方面の趣味も活発で、特にシニア女性が高い傾向です。

男女の差もはっきりと表れており、女性の上位には「料理・お菓子づくり・パンつくり」、「園芸・ガーデニング」などが上がっており、男性は「ドライブ」となっています。
人気の趣味を調査すると常に上位にランクインする「旅行」や「温泉」に関しては、男女差はあまり見られません。「温泉」を趣味と答えるシニア世代は、40代以下と比較すると2倍以上いることが見て取れます。(図6)

また、シニア世代と40代以下の世代で人気の趣味のランキングを比較すると一つの傾向が見られました。「散歩・散策・ウォーキング」「国内旅行」「食べ歩き、お取り寄せ」はどちらの世代でも一定の人気がある中、シニア世代のほうが、外出を伴う趣味がより上位になっています。これは、健康意識の高まりや若年層と比べた際の消費余力の大きさが複合的に影響していると思われます。

コロナ禍中~現在、お金をかける先の広さと大きさは不変

シニア世代の消費意欲に関しては、過去の調査からコロナ禍中にあっても低下していないことが分かっています。
従来から、シニア世代は若い世代よりも様々なことにお金をかけていました。中でも「家族のこと」「趣味のこと」「心地よさのこと」にお金をかけている傾向が強く、それは緑の棒グラフに示される40代以下の層を大きく上回っています。シニアの男女を比較すると、全般的に赤い折れ線のシニア女性が青の折れ線のシニア男性を超えています。マーケティングの観点から見ると、シニア女性の消費余力に今後も期待ができそうです。(図7)

若い世代をしのぐ高い食意識

「食意識」に関する40項目について、四段階評価で当てはまるか当てはまらないか聞いたところ、多くの項目においてシニア世代が40代以下を上回る結果が出ており、現役層をしのぐシニアの食意識が読んで取れます。

「食事は食べるだけでなく家族や仲間とのコミュニケーションの1つだと思う」「家族や友人と一緒に食事する時間を楽しみたい」に関しては約8割の方が当てはまると回答しており、食事を通して他者とのつながりを大切に思っていることが分かります。
また、「朝食はきちんと食べるようにしている」「栄養バランスの良い食事をこころがけている」「できるだけ多様な食材を摂るようにしている」など、健康を意識した項目に関しては、特に40代以下に比べて意識が高いことも分かります。

ADK MSでは今後もADK生活者総合調査において様々なデータを活用し、ターゲットプロファイリングや新商品開発、メディアプランニングなど、みなさまのビジネスの課題解決に貢献してまいります。

―調査概要(2024年調査)―
目的:生活者の生活行動・価値観・メディア接触を多面的に把握するため
対象エリア:関東(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県)
関西(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県)
対象者条件:15~79歳の男女(中学生は除く)
サンプル数:16,574名
調査手法:インターネット調査
調査期間:2024年5月14日(火)~6月3日(月)
集計については、国勢調査の人口構成、関東・関西のエリア構成に合わせるため、ウエイトバック集計を実施しています。

※1   関西地区は2015年より調査対象。
※引用の際には、出典:「ADK生活者総合調査2024」と記載ください。

<ADK生活者総合調査について>
2008年度よりADKが毎年関東・関西エリア在住の男女10,000名以上を対象に行っている、独自の大規模生活者調査。意識/価値観・消費行動・メディア接触などの多岐にわたる項目を、同一のサンプルに聴取したシングルソースデータとなっており、生活者の意識・行動からメディア接触まで一貫した分析が可能です。また、ADK MSでは東京大学、早稲田大学、武蔵大学と「データサイエンス領域」で連携し、教育・研究用に過去の生活者総合調査データを無償で提供しています。


【本件に関する問合せ先】
株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ
 マーケティングインテリジェンス本部 第4プランニング局 「今どき☆新シニア研究所」 稲葉
株式会社ADKホールディングス
 経営企画本部 PR・マーケティンググループ 内山 e-mail:mspr@adk.jp

ADK Marketing Solutions Inc.