ニュースリリース

【フロントラインレポート】今、ラジオが熱い! 音声コンテンツ起点の体験価値でファンを作りだす!!

南 庸子
ADKマーケティング・ソリューションズ
メディアビジネスセンター ラジオ・OOHビジネス局 局長

テクノロジーの進化などを背景に、音声コンテンツを提供するサービスや多様なデバイスが登場しています。さらに、これらのサービスやデバイスがデータ連携することにより、耳で触れる体験の活性化が進んでいます。音声コンテンツ市場が活況を呈する中、音声メディアや音声広告も注目を集めており、ADKマーケティング・ソリューションズ(ADK MS)では、「音声」の力に着目した新たな体験価値を提供してまいりました。
今回の「フロントラインレポート」では、スマートデバイスにおける音声広告の効果検証やラジオ番組とのコラボレーション、IPIntellectual Property)を活用した施策などを推進してきた、ADK MSメディアビジネスセンター ラジオ・OOHビジネス局の南 庸子に、音声広告の可能性や音声コンテンツ起点の体験価値創造について話を聞きました。

―現在の音声広告を取り巻く環境について教えてください。

南:昨年は、Spotifyが日本の広告市場に注力するというニュースや、日本発の音声プラットフォームVoicyが、第三者割当増資による総額27.3億円の資金調達を実施したと発表するなど、ここ数年で音声関連のサービスが急拡大しています。コロナ禍の外出自粛やリモートワークによる在宅時間の増加を機にラジオを聴く習慣ができ、今も継続して聴いている生活者は多いようです。当社が担当する外資系クライアントでは「オーディオ」に関する提案が当然となっていますが、音声化された書籍コンテンツを聞くオーディオブックサービスの増加や、Spotifyなどの音楽配信サービスやポッドキャストの浸透に伴って、日本の音声広告市場も急成長していると感じています。

―音声メディアや音声コンテンツの価値はどこにあると思われますか?

南:近年では高性能なワイヤレスイヤホンやスマートスピーカーなどの普及もあり、家事や仕事をしながら音声コンテンツを楽しむスタイルが定着してきています。移動しながら利用できる手軽さや、場所やタイミングを選ばないフレキシブルさも魅力です。また、音声だけのアプローチはユーザーの印象や記憶に残りやすく、人の声がもたらす温かみがあること、煩わしさが少ないことなども強みと言えるのではないでしょうか。このような強みは企業・ブランドの認知やイメージに好影響をもたらすと言われており、音声コミュニケーションは他のメディアと比較して独自のメリットを有しているのが特徴です。
そして何より、音声広告を含む音声コンテンツ最大の価値は、エンゲージメント力だと思っています。従来からラジオはリスナーとの対話(双方向性)を重視しており、番組パーソナリティがリスナーからの声に親身に寄り添ったり本音で向き合ったりする場面が多く、両者が常に近い関係にあります。そのためラジオ番組への感情移入がされやすく、結果として番組をスポンサードしている企業やブランドに対しての興味、好感を増幅する傾向にあるようです。私がラジオ番組発のイベントに行くといつも思うのは、ファンの方がたによるコミュニティの強さです。番組を支持する熱狂的なファンやリスナーの声からは、思いがけないユニークな企画が生まれ、ともに番組を作り上げる、そして盛り上がることが頻繁にあり、ラジオはファンコミュニティを形成しやすいメディアだと感じています。ADKでは、フルファネル視点での顧客体験創造に取り組んでいますが、音声メディア、音声コンテンツの強みを活かした体験価値を提供していくことで、育成型マーケティングの中核となるファン形成に寄与できると考えています。

―ところで、昨年4月に発表した“スマートデバイスにおける音声広告の実証実験”の結果についてお聞かせいただけますか。

南:この実証実験では、スマートデバイスで再生される音声ニュースコンテンツ“J-WAVE HEADLINE NEWS”(地上波での放送に合わせて随時最新のニュースを音声コンテンツとして配信)と連結した音声広告が、広告接触者に対してどのようなブランドリフト効果をもたらすのかを検証しました。スマートスピーカーやスマートデバイスを使った広告展開が課題となっていたため、新たなチャネル開拓の意味も兼ねての実施です。その結果、音声広告接触者においては、ブランド認知、興味、理解や使用意向など多くの指標で非接触者を上回り、スマートデバイス上で配信される音声コンテンツを活用した広告の有効性が証明されました。
また、スマートデバイス上で再生されるJ-WAVE HEAD LINE NEWS の聴取者は、非接触者の一般的なデモグラと比較してビジネスパーソンの占める割合が1.5倍多く、約7割存在。また、ビジネスパーソンの中でも事業の意思決定に高関与な「会社経営・役員」や「会社員(管理職)」の割合も一般と比較すると高いということも明らかになり、音声ニュースコンテンツの価値自体を証明することも出来ました。今回の実証実験で得たこれらの特徴的な結果からは、スマートデバイスを活用した音声広告のポテンシャルと、ユーザー情報とデバイスによる適切なターゲティングの可能性が浮き彫りになりました。

HEADLINE NEWS」ユーザープロフィール:職業

(J-WAVE「J-WAVE HEADLINE NEWS」実証実験報告、調査協力 楽天リサーチ)

―これまで提供してきた音声コンテンツによる体験価値創出には、他にどのようなものがありますか?

南:2020年のコロナ禍で先の見えない不安が高まる中、東京キー4局横断のプロジェクト「エールを届けるラジオ便」をクリエイティブ・ブティックnavyの発案で実施しました。ラジオを通じて会いたいけれど会えない家族や友人への“エール”をリスナー自らの声で伝える企画は、人びとを音声で応援したい、安心感を届けたいという想いを持ったラジオ局の賛同を得て実現しました。
リスナーからは、「毎日、温かい励ましの声が聞こえて気持ちが明るくなった」「声を通して繋がっていることを実感できた」など、多くの反響が寄せられました。気持ちをまっすぐに届けられる音声だからこそ、自分ごととしてシーンやシチュエーションを思い浮かべることができる、心に寄り添う施策になったのではないかと思います。
他にも、ADKエモーションズとの連携により、IPとラジオ番組のタイアップに取り組んでいます。「クレヨンしんちゃんon J-WAVE」は、くすっと笑えるコンテンツで世の中を元気にできたらと、2020年から毎年実施しています。作品を象徴する主人公しんちゃんの声を活かした楽しいコンテンツは、アニメとはひと味違ったキャラクターの魅力を感じられることから、子どもだけでなく大人にも受け入れられ、幅広いファン層からの支持を得ることができました。このように、キャラクターを演じる声優とラジオ番組などの音声メディアはとても相性が良いと実感しており、今後もIPの魅力を最大限に活用した音声コンテンツによる体験価値の創出に向き合っていきたいと思っています。

―音声コンテンツや音声広告に関する新たな取り組みについて教えてください。

南:これまで、ラジオなどの音声広告は「データが少ない」、「効果が見えづらい」という意見があったなか、前述した効果検証のように、クライアントの商品やサービスへの音声広告や音声コンテンツの影響を明らかにする実証実験に取り組んできました。加えて、radikoSpotifyなどのデジタルオーディオプラットフォームでは、音声広告の効果を可視化することが可能になってきています。ADK MSでも外部データを活用しながら、生活者インサイトを導き出し、企業のコミュニケーション活動を支援する「Data Chemistry」との連携をスタートしています。Data Chemistryは、生活者の行動や価値観、接触メディアなどを掛け合わせた「パネルデータ」と「全数系データ」を使った分析によって、顧客のリアルなプロフィールを明らかにすることが可能です。これに、radikoのデータを紐づけることで、より精緻化されたターゲット分析ができるようになります。今はまだ試行錯誤の段階ですが、この精度の高いターゲティングによって新規客の獲得や既存客の理解、広告効果の最大化を合理的に図りながら、今後もオリジナルな音声コミュニケーションを企画、実行していきたいと考えています。

―最後に、これまでの経歴や取り組みへの想いなどお聞かせください。

入社して3年半は営業、その後、20年以上ラジオ広告を担当しています。営業からラジオ部に異動した当初は、部長を入れて三人だけでしたので、放送局の方がたには仕事を教わる機会が多かったです。ありもののタイム提供やスポット作業だけでなく、ラジオ番組の企画に参画したり、番組発のイベントではスタッフの一員として呼び込みやサンプリング、ADのような仕事もさせていただきました。毎週のように番組の収録に立ち会っていると、放送局の営業さんはもちろん、編成、制作、パーソナリティの方がたとの距離が縮まり、ADK営業も含めワンチームで課題に取り組めることがモチベーションであり、これまで続けてこられた原動力となっています。

昨今は、生活者が「ラジオ」を「ラジオ」として聴く時代から、「音声コンテンツ」の一部として「ラジオ」を聴く時代になったと言われています。特にZ世代ほど、ワイヤレスイヤホンでのながら聴きなどマルチタスクに使いこなしており、音声コンテンツへの向き合い方が明らかに違ってきていると実感しています。そういった新たな環境にチャンスがある中で重要なのはやはりコンテンツだと思います。ユニークネスなコンテンツを企画、開発し、音声コンテンツの魅力や価値をもっと生活者の皆さんに知ってもらいたい、届けたい。ラジオを取り巻く環境は変われども、この想いは変わりません。こうした中、ADKでは今年から「ラジオ・OOHビジネス局」となりました。音声コンテンツとOOHDOOHの連携など、生活者に新たな広告体験を提供していきたいと思っています。

最後に、音声コンテンツの価値をもっと知ってもらおうと、「RADIO DIG」という社内向けラジオを2年前から配信しています。入社3年目のメンバーがパーソナリティのように登場する7~8分のミニ番組ですが、仕事の合間に聞けばリフレッシュができ、登場社員の人となりもわかり好評です。最近はPR目的で自社ラジオ番組をポッドキャストで展開する企業も増えていますが、ゆくゆくは「RADIO DIG」もそのようにしていけたら楽しいと思っています。
これからも音声メディア、コンテンツ、広告を活用することが当たり前の世の中になることを目指して、音声メディア・音声コンテンツの価値向上に注力してまいります。



南 庸子
ADKマーケティング・ソリューションズ
メディアビジネスセンター ラジオ・OOHビジネス局 局長


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